接客業を辞めた20代半ば、原因不明の頭痛に苦しんでいた。嫌いだった先輩からの突然の電話で訪れた先で、「今日来なければ死んでいた」と告げられ、痛みは消えた。以来、導かれるように友人の相談を受け始め、この仕事へたどり着いたという。
Q&A インタビュー
現在のご職業を教えてください
職業は、英語で言うとスピリチュアル、日本語で言うと霊能力者、または透視能力者という仕事をしております。皆様には、占い師という言葉を使った方が分かりやすいかもしれません。占い師ではないのですが、生年月日や道具を使わず、お相手のお悩みや知りたいことを、インスピレーションや直感などによって、お電話または対面でお伝えします。当たったり外れたりですが、私の場合は助言やアドバイスも入れてやっております。
対面での鑑定の流れを教えてください
対面のときは、まずお名前をちょうだいします。不倫、恋愛、結婚、転職といったご相談は、世代によってアドバイスが変わってきますから、年齢も教えていただいています。そうして紙に書いていただいた上で、私が右手をかざすと、いろいろな映像が視えてきて、それをお伝えしております。
電話の場合は相談者やお相手の何が視えてくるのでしょうか
ご相談はほとんどが恋愛です。不倫や結婚など、お客様の8割9割は女性ですから、恋愛ものが多いですね。お相手の彼氏さん、または片思いの相手を仮に彼氏としておきましょう、その方の口癖や喋り方、イントネーション、そういったものは聞こえてきます。まず声であれば、ですね。ビジュアルとしては、特にそこに焦点を当てなくても、相談者のルックスが視えてくることがあります。「色が白いですか?」とか、「ワンレングスで髪の色が真っ黒ですか?」とか。相談者様ご自身がおっしゃる前に視えるんです。「私、最近太ってる」といったご質問以外のところでも、何か視えてくるときがあるんですよ。「肌が荒れていませんか?」とか、「顎のあたりにニキビができていませんか?」とか、「500円玉はげみたいなものができていませんか?」とか。そういうことはあります。
この仕事に導かれた転機は何でしたか
私の人生の中で、世間でいう霊能力の修行をしたことは一度もありません。ただ、皆さんもよく聞いたことがあると思うのですが、「死ぬな」と感じたことがありました。こういう力が自分にあって、この仕事にたどり着くまでに、「ああ、もう私は死ぬな」と思う時があったんです。家で寝ていましたら——ちょうどバブルが弾けた頃で、接客業を10年やって辞めた、26、7の頃でした——左の後頭部がやたらと痛くて、重いんですね。人間の力では測り知れない重さ、そんなイメージです。整形外科、接骨院、マッサージ、どこへ行っても取れないんですよ。薬をもらっても、一向に良くならない。そんなとき、電話が鳴ったんです。こちらは何も言っていないのに、前に勤めていた職場の、私の嫌いな先輩——15歳は上でしょうか、40歳ちょっとの方——が、「ちょっと行ってみない?」と。世田谷に、です。霊能者とはうたっていませんでしたけど、いきなり電話が来て、「人生変わるから、ちょっと行ってみない」と言うんです。何のことだろうと思っていると、「3万かかるんだけど、ちょっと来て」と。その言葉だけで、引き出しから3万円を握りしめて行ったんですよ。そこで、後に師匠となる男性と出会いました。何も言っていないのに名前を書いて——私自身、霊能者的なことで整理したい人間関係もありましたので——当たり外れもあったのでしょうけど、視てもらった後に、「ちょっと待って、なんかついてる」と言われたんです。本当に何も言っていないんですよ。師匠はハリセンを持ってきて、違う部屋で「ここだ、ここだ」と言いながら、左の後頭部を思いっきり叩くんです。そして、「あなた今日ここに来ていなかったら死んでいたよ」と言われました。「何で分かるの?」と聞いたら、「分かるよ」と。そこから、痛みが治ったんです。本当にびっくりしました。それからは、ちょうど同級生が結婚適齢期で、結婚式に呼ばれることが多くなる時期でした。二次会や新居に呼ばれると、「今日は夫が出張だから」「遅いから泊まりに来て」と、友達がわりと多かったので。そうするうちに、友人からの相談事が増えていって、導かれるように、こういう仕事になったんですね。「当たることが多いよ、だからちょっと看板を出してみない?」ということで。今のようにITが盛んになっていない頃ですから、1990年代後半に、リクルートから出ている雑誌で募集させてもらいました。だいたい平均二時間ほどでしたが、何時間話しても3000円でいいですよ、と自宅で広告を出しましたら、来てくださって。お母さんを連れて来てくださったり、リピーターになってくださったりして、「へえ」と思ったんですね。
どんな相談が多く寄せられますか
ほとんどが恋愛ですね。「結婚できますか」「夫とうまくいかないんですけど」「片思いを成就させたい」とか。復活愛といって、一度別れた相手とのご相談もあります。あとは、まったくの独身の方で、「いつ彼氏ができますか」とか。恋愛がしたいのであって結婚ではない、という方もいます。彼氏というのは、いわゆる恋人ですね。恋愛イコール結婚ではなく、「今の彼氏と結婚できますか」というご相談もあります。一番多いニーズは、やはり恋愛ですね。
祈願や縁結びも行うのでしょうか
うちには、スピリチュアルが好きな方がいらっしゃいます。世の中にはスピリチュアルを信じない、嫌いという方もいますから、信じて好きな方が来てくださっていると思っています。例えば、「恋愛に強い神様ですよ」「神社を回ってみたら」といった縁結びのお話や、縁を切る神様のお話もします。ただ、絶対にやらないのは、人を不幸にするような助言ですね。私は祈祷師でもあるので、実は祈願も行っているんですが、縁結びについては——なんと言ったらいいでしょう——自分の好きな人に彼氏や彼女がいるから「その相手と縁を切らせてくれ」という、そういうことをビジネスとしてやる方もいます。でも、私はやりません。それならば、縁結びという形で「あなたの魅力を高めましょうよ」と、そちらのほうの祈願をしています。なぜかというと、やはり因果応報はあるんですよね。世の中、人の不幸を呼び込んではいけません。私のところにやってきてくださるあなた様と、あなたの好きな方とのご縁を、あなたの魅力を高めて結びましょう、ということで、神社を紹介してあげたりもします。祈願祈祷、プチ祈願祈祷は、電話または対面の鑑定を終えた後にやっていますので。
この仕事のやりがいはどこにありますか
格好つけた言い方になってしまうかもしれませんが、スピリチュアルは目に見えないものなので、人とのつながりが言葉によって生まれて、結果として輪ができる。それが絆という形になるのが、すごく嬉しいんです。この土地に居ながらにして、北海道、沖縄、九州といった全国の方と、電話一本で、あるいは対面でつながれる。それも向こうから来てくださるというのが、とても嬉しいですね。
仕事で辛いことはありますか
これは、死ぬのではないかと思うほどの霊障です。オカルトめいた話で申し訳ございません。今もちょうど、霊障が抜けかけているときなんです。今は2026年ですね。2021年の終わりから、もう疲れきって寝込みました。変な例えですが、ここに紐——ロープでもいいです——があって、その先に漬物石が1個ぶら下がっていて、足が重く痛くなるような感じです。もう4年は続きますね。これで2回目です。朝から晩まで寝るんです。とにかく眠いんです。それが終わると、自分の人生のステージが変わるんですね。今はやっと、自宅からここまで辿り着けるようになりました。1年前だったら来られなかったと思います。やっと辿り着いた感じで、以前はおそらく化粧もできなかったんです。私が勝手に霊障と呼んでいるんですが、霊能者の「霊」に「障害」で霊障。「お前は」と上から声が聞こえて、「いいから、おとなしく寝てろ」というような感じなんです。先ほど言った2008年、9年、10年、11年あたりも、寝込んでいて仕事が何もできませんでした。そのとき、事務所の家賃や光熱費、食費を全部どうしよう、どうしようと思っていたら、たまたま知人の、音楽仲間の正看護師さんを一人視たんです。そこから口コミで、寝ながらでもお客様が来てくださるようになりました、その頃は。そうなんです、寝ながらです。鑑定のときは、汚い格好でも相手に見えませんから、申し訳ないのですが、スーツではなく楽な格好で、電話で対応していました。対面はちょっと難しかったですね。
霊能者としての修行とはどんなものですか
霊能者を名乗るのであれば、修行はさせていただいています。それはどういうことかというと、例えば祈願や祈祷に直結するのですが、護摩焚きを、自分のために、いつも同じお寺で行っています。護摩焚きは普通、密教のお寺でしかできませんから。火を焚いて、そして皆さまの幸せを願う——こういう言い方は少しかっこつけすぎですね——でも、皆さまの幸せと自分の幸せはイコールですから。因果応報というのは、人の幸せイコール私の幸せということで、エゴイストになってはいけないと思うんです。早い話が、「自分の仕事が栄えますように、皆さんが幸せになりますように」という感じですね。ただ、コロナ以降はもう、私自身が霊障でフラフラなので、そろそろ行かなければと思っています。あとは、お墓参りですね。都内にあるんですけど。本職でやっている方は、もう自然と足が向くようになりますよね。
相談者にどう寄り添っていますか
心から、そして根拠をもって——目には見えないけれど根拠のあるところを——お伝えして、夢を持たせるというか、「大丈夫ですよ」とお伝えするんです。すると、「私、そんなに良いことがありますか?」「私、そんなものですか?」と言われます。「今は彼氏が貧乏でも、必ず成功するよ、そういう星を持っているよ」と、嘘ではなくお伝えします。お客様から聞いたわけではなく、視えたなかでお話しするんです。例えば、「この人の実家は水道屋さんではないか」とか、「彼、今はサラリーマンをやっているけど、本当は自営業を継ぐはずだよ」とか、「男兄弟が2人いるけれど、彼は次男で、長男は当てにならないでしょう、逃げてしまったでしょう」とか。そうすると、「なんで分かるの?」と驚かれます。「私、彼氏からそんな話は聞いていないけど」と言われたら、「じゃあ、ちょっと聞いてみれば。当たらなかったら、当たらないでいいですから」とお伝えします。そんな感じで、「今は貧乏で結婚できない」という、お金の部分がネックなら、そのようにお話しします。「でも今、彼氏さんには彼女がいるよ」とお客様から聞けば、「別れるよ。うまくいっていないよ。だって、1か月ぐらい会っていないと言っているでしょう」と、そういうこともお伝えしていました。そうやって、お客様が気づいていない部分、分かっていない部分、情報がなかった部分の、根っこの真実の部分をお伝えすると、結果としてそれが当たることになるんです。当たり外れになるんですけど、その視えた部分を提供して、「大丈夫じゃない? 半年ぐらいなら大丈夫じゃない? 梅雨が明ける頃なら大丈夫じゃない?」とか、「次の花火大会なら一緒に行けるんじゃない? 浴衣を着てね」とか。そんなふうにやっているので、カウンセラー的になっているのかもしれません。医者で言ったら、薬のようなものですね。やはり、ご本人が動いてくださらないと結果は出ないんです、結婚も仕事も。努力というと大げさですし、そんなに難しいものではないのですが、人生はご本人が動かないと変わらない。そういう意味では、ご本人が気づいて、動いてみてください、ということですね。
ご自身のことは視えていますか
自分のことは全然視えていないと、ずっと思っていたんです。でも20年ぐらい前でしょうか、仕事の仲間から、二人ほどに、「自分が視えているから、人も視えるんだよ」と言われたんです。視えていない部分は、あっていいと思います。すべて視えてしまったら、友達がいなくなってしまいますし、可愛げもなくなってしまう。人って、欠点があるものですから。「ああ、そうだった、ごめんなさい」とお茶目に言えるくらいがいい。いえ、私自身は忘れっぽくはないんですけど。人には何かしら欠点があるじゃないですか。それも、自分のすべてが視えていないからではないでしょうか。もし全部が視えていたら、完璧すぎてしまう。視えていないからこそ人とつながれるし、視えていないからこそ、欠点で笑い合えるのだと思います。
この仕事を目指す人に伝えたいことは
これは結構、人気の職種なんですよ。ただ、皆さんが思うほどは稼げない、というだけで。簡単に言えば「頑張ってください」なんですが、きれいごとを言うなら、自分に余裕がないと人の悩みは聞けませんから、まずは自分の問題を解決してから、ぜひ大いに学んで活躍してください、という感じでしょうかね。